ありがとうと言わせてくれ

20代♀が感謝したい人や物について書きます

美容部員さんありがとう

合う・合わないという考え方を知ったのは中学二年生の時だった。
当時通っていた塾の中で、どうしても好きになれない講師がいた。決して悪い人ではないし、むしろ誠実で熱心な講師だったと記憶している。 どこが苦手かと考えてみるも、うまく言葉が浮かばない。ないなんとなくしっくりこない、その一言に尽きる。「なんとなく」でこんなに苦手意識を持ってしまう自分が嫌になった。

そのことを思い切って塾長に打ち明けると、こんな答えが返ってきた。

「人には相性というものがある。 どうしても合う人・合わない人がいる。 それは人間関係を営む上で仕方のないこと。 君はあの先生とたまたま合わなかった。ただそれだけのことだよ、誰も悪くない」

塾長はその後私の担当講師を変えてくれた。


学校では相性なんて教えてくれない。それどころか、 みんな仲良くしましょうと教えられる。

今思えば呪いみたいなものだ。 誰とでも仲良く出来るのが当たり前。 分かり合えない人なんていない。 なんとなく合わないなんて感情を持つのは悪いこと。そんな呪いにかかって人間関係で悩む子どもたちがどれほどいるの だろう。いや、 子供に限らず大人にだって同じことが言えるのではないか。

合う・合わないという概念さえ知っておけば、いじめも今より少なくなる気 がする。合う・合わないと、好き・ 嫌いを混同するから争いは生まれる。合わない人は必ずいる。 でも、誰も悪くない。 合わないと思えばそれなりの距離感で接したらいいだけなのだ。

 

この3年で20人程の美容部員さんにお世話になった。外資系ブランドから国内ブランドまで、 店舗形態も都市部のデパートから地方都市のドラッグストアまで、幅広く足を運んだ。様々な美容部員さんに出会ったが、その中でも合う・合わないはあった。合うな、と思った美容部員さんの特徴をまとめてみる。


・笑顔と声が明るい
まずはこれ。愛想笑い程度しか笑顔を浮かべない(それどころか疲労で接客が投げやりになっている)美容部員さんも結構お見かけする。 日頃の業務本当にお疲れ様です。接客は勿論、 バックヤード業務やノルマなど本当に大変だと思 います。でも、 正直物を買うだけならネットショッピングで事足りるご時世。私の場合、カウンターへ行って接客をしてもらうのは、 せっかく同じものを買うならいいなと思った人から買いたいという気持ちがあるからだ。この人から買いたいと思ったら、当初買う予定でなかった商品も買いたくなる。次のお買い物にもつながる。私も幸せ、お店も儲かって幸せ。ツンとしたクールな人も良いが、やさしいくて親しみのある感じの人だとしっくりくる。つまり、めっちゃ財布の紐が緩む。


・似合うものを提案してくれる
特にポイントメイクの色選びは美容部員さんに頼りたい。正直、 好きな色は自分の中である程度はっきりしている。その色を買うだけならネットショッピングで事足りる(二度目)し、 自分で複数の候補の中から選ぶだけであれば自分でタッチアップすればいい。でも、私は美容部員さんに口を挟んでもらいたい質だ。こういう色がいいけど、 馴染むだろうか?雰囲気に合っているだろうか? という疑問についてアドバイスをしてもらいたい。リップを片っ端から手の甲に伸ばして、それっきりなにも言ってくれない美容部員さんもいらっしゃるが、もっと踏み込んだ提案をしてくれる人がいい。勿論、似合うより自分の好きを重視するお客様がいらっしゃるのもよくわかる。


・世間話とセールスのバランスが絶妙
製品の説明や使い方のアドバイスは勿論聞きたい。でも、 それだけだとネットショッピングで(以下省略)。

「最近寒いですね、コートはどちらで買われたんですか? 」「お似合いですね。そういうお色のコートと合わせるなら、 こういう色味のアイシャドウにしましょうか。」
こんな感じでうまいこと世間話とセールスを折り込める人はドンピシャタイプ。
化粧品、中でもデパコスは高い。安くはない商品だからこそ、いかに嫌味っぽさを無くせるか、もっと砕けた表現にすると売り込んでる感の無い勧め方を出来るかが美容部員さんの腕の見せ所だと思う。

急に話題を断ち切って新商品を勧められても「ノルマがあるのかな」「私に合ってるかはさておき売ってしまいたいのかな」と悪い想像をしてしまう。買おうという気持ちにはなりにくい。勿論、 ぴったりだと思って勧めてくださる場合もあると思うが。


・同僚への気遣いを忘れない
カウンターによっては、近寄っただけで「あ、、(察し) 」となることがある。 美容部員さんの関係がギスギスしてるのが伝わってくるのだ。仲が良くないからといって製品の質が変わるわけでも、美容部員さん 個々の能力が変わるわけでもないが、雰囲気が悪いとリラックスして買い物出来ない。その場から早く離れたいと思う。

冒頭に書いた通り、人間であるから合う・合わないというものはある。無理に円満ぶりを取り繕う必要はないが、手が空いている人が接客中の人のためにコットンを出してあげたり、購入された製品のラッピングをしたりするくらいの思いやりはあっていいと思う。


ここまで書いて気づいたことがある。
私なりに美容部員さんに求めるのは、
・明るい雰囲気で
・似合うものをすすめてくれる
ことである。
思えば、美容部員さんに限らずもっと広く接客業や営業職の方に求める点でもある。
よそよそしい雰囲気のショールームには行きたくないし、 こちらの使用状況を考えず高いスマホプランを勧められても私は嬉しくない。
静かな雰囲気のショールームがいい人もいれば、 高くついても万全のプランでスマホを使いたい人もいるだろう。

もっと言えば、店員さんに話しかけられたくない人たちだっている。私は完全に話しかけられたい人間だが。
こうやって考えるといろんなニーズの顧客がいる。しみじみ、 接客業や営業職の方は大変だとおもう。
美容部員さん、いつもありがとうございます。陰ながら応援しています。今後ともよろしくお願いいたします。

 

TBSアナウンサー 宇垣美里さんのコラムが沁みる

TBS女子アナウンサー・宇垣美里さんが週刊プレイボーイで連載を持っている、と知ったのはつい最近のことである。


女子アナウンサーとしてコラムを執筆するのだから、きっと美味しいスイーツやキラキラした交友関係など、終始華やかな日々について綴られているのだろうと思っていた。
ところが、軽い気持ちで週プレ2018年12月10日号を読んでみると、良い意味で裏切られた。
なんと、コラムでは宇垣さんの好きなポケモンのランキングが取り上げられていたのである。
どうやら思っていたテイストとは違うぞ、と思いバックナンバーも読んでみることにした。

2018年12月3日号では、リラックス方法について語られていた。
すばり言うと、宇垣さんにとってのリラックス方法は入浴とスキンケアである。一言で言えば以上なのだが、本文では入浴剤の選び方からアイクリームの塗り方まで、一つ一つの手順がとことん詳しく書かれている。製品名を出さずともその特徴や使い方が丁寧に説明されているので、その気になれば同じスキンケアが出来そうなくらい。ふむふむ、こうした工程を経て彼女の可愛らしさは作られるのだなと美容雑誌を読んでいるような気分になる。メンズ向け雑誌に美容雑誌顔負けの情報を執筆する宇垣さん。やっぱり思っていたテイストとは違う。

本文の3分の2程度はこうしたお手入れ方法の解説に割かれている。しかし、コラムの残り三分の一は宇垣さんの人生観が熱く語られていて、はたまた私の想像は良い意味で裏切られた。

文中で、彼女は「人生は悲しいものだ」と断言する。女子アナウンサーという華やかな職業イメージのある人がそのように断言するのは、少し衝撃的だった。バラエティ番組で彼女を見かける度、ネガティブな面のある女性なのかな、と思ってはいたが。
しかし、彼女は決して人生に絶望しているのではない。彼女が自分自身を甘やかすのは、他人のためだと言う。
自分のことを大切にする以上に他人のことを大切には出来ない、いつか自分の大切な人が傷ついたときに優しく出来る人になるため自身を可愛がるのだと彼女は語る。

リラックス方法と言うと、自分を癒すことのみにフォーカスが当たりがちだ。しかし宇垣さんは違う。他人を甘やかすために自分を甘やかす。なんてやさしく、そして視野の広い女性なのだろう。

自分は未だかつてお手入れをしながら誰かを思い描いたことがあっただろうか。そりゃあ、彼氏や好きな人のことは想うかもしれないが、彼女はもっと広く様々な人を想定しているのだろう。家族、職場の仲間、視聴者……あくまでわたしの想像でしかないが、少なくともそこまで考えているような気がする。

私は今まで自分を甘やかすことに後ろめたさがあった。他の人がその人自身を甘やかすことに対しては何も思わないのに。甘やかすことはサボることのような気がしていた。お金や時間を自分のために費やす度、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちは半分ずつあった。誰も、自分を甘やかして良いよなんて言ってくれない。

でも、彼女の考えをもってすれば自分を甘やかすことへの罪悪感が薄まっていく。自分を大切にすることは人を大切にすることなのだから。

バラエティ番組でのネガティブな発言から闇キャラとして人気を博している彼女だが、彼女の個性は決してそんな一言では片付けられない。彼女は闇を抱えているのではなく、自分の考えをを持ち、それを発信する強さを持っているのである。アラサーで、一会社員の彼女が自らの思いを発信することは決して容易いことではない。同年代の自分に同じことをする勇気が果たしてあるだろうか。
彼女は自身の言動によって時に揶揄されたり、批評されたりすることもあるだろう。
でも、彼女にはこれからも彼女の考えを彼女の言葉で伝えてほしい。
彼女の想定する通り、彼女のおかげで救われる人間がここにもいるのだから。