ありがとうと言わせてくれ

20代♀が感謝したい人や物について書きます

TBSアナウンサー 宇垣美里さんのコラムが沁みる

TBS女子アナウンサー・宇垣美里さんが週刊プレイボーイで連載を持っている、と知ったのはつい最近のことである。


女子アナウンサーとしてコラムを執筆するのだから、きっと美味しいスイーツやキラキラした交友関係など、終始華やかな日々について綴られているのだろうと思っていた。
ところが、軽い気持ちで週プレ2018年12月10日号を読んでみると、良い意味で裏切られた。
なんと、コラムでは宇垣さんの好きなポケモンのランキングが取り上げられていたのである。
どうやら思っていたテイストとは違うぞ、と思いバックナンバーも読んでみることにした。

2018年12月3日号では、リラックス方法について語られていた。
すばり言うと、宇垣さんにとってのリラックス方法は入浴とスキンケアである。一言で言えば以上なのだが、本文では入浴剤の選び方からアイクリームの塗り方まで、一つ一つの手順がとことん詳しく書かれている。製品名を出さずともその特徴や使い方が丁寧に説明されているので、その気になれば同じスキンケアが出来そうなくらい。ふむふむ、こうした工程を経て彼女の可愛らしさは作られるのだなと美容雑誌を読んでいるような気分になる。メンズ向け雑誌に美容雑誌顔負けの情報を執筆する宇垣さん。やっぱり思っていたテイストとは違う。

本文の3分の2程度はこうしたお手入れ方法の解説に割かれている。しかし、コラムの残り三分の一は宇垣さんの人生観が熱く語られていて、はたまた私の想像は良い意味で裏切られた。

文中で、彼女は「人生は悲しいものだ」と断言する。女子アナウンサーという華やかな職業イメージのある人がそのように断言するのは、少し衝撃的だった。バラエティ番組で彼女を見かける度、ネガティブな面のある女性なのかな、と思ってはいたが。
しかし、彼女は決して人生に絶望しているのではない。彼女が自分自身を甘やかすのは、他人のためだと言う。
自分のことを大切にする以上に他人のことを大切には出来ない、いつか自分の大切な人が傷ついたときに優しく出来る人になるため自身を可愛がるのだと彼女は語る。

リラックス方法と言うと、自分を癒すことのみにフォーカスが当たりがちだ。しかし宇垣さんは違う。他人を甘やかすために自分を甘やかす。なんてやさしく、そして視野の広い女性なのだろう。

自分は未だかつてお手入れをしながら誰かを思い描いたことがあっただろうか。そりゃあ、彼氏や好きな人のことは想うかもしれないが、彼女はもっと広く様々な人を想定しているのだろう。家族、職場の仲間、視聴者……あくまでわたしの想像でしかないが、少なくともそこまで考えているような気がする。

私は今まで自分を甘やかすことに後ろめたさがあった。他の人がその人自身を甘やかすことに対しては何も思わないのに。甘やかすことはサボることのような気がしていた。お金や時間を自分のために費やす度、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちは半分ずつあった。誰も、自分を甘やかして良いよなんて言ってくれない。

でも、彼女の考えをもってすれば自分を甘やかすことへの罪悪感が薄まっていく。自分を大切にすることは人を大切にすることなのだから。

バラエティ番組でのネガティブな発言から闇キャラとして人気を博している彼女だが、彼女の個性は決してそんな一言では片付けられない。彼女は闇を抱えているのではなく、自分の考えをを持ち、それを発信する強さを持っているのである。アラサーで、一会社員の彼女が自らの思いを発信することは決して容易いことではない。同年代の自分に同じことをする勇気が果たしてあるだろうか。
彼女は自身の言動によって時に揶揄されたり、批評されたりすることもあるだろう。
でも、彼女にはこれからも彼女の考えを彼女の言葉で伝えてほしい。
彼女の想定する通り、彼女のおかげで救われる人間がここにもいるのだから。